「ツラいんなら、泣いてもいーよ?」

何があったか知らないけど、ホラ、銀さん、君と違って大人だからさ。話くらい聞いたげるよ?


そう言って頭を撫でた手を振り払う。
するとソイツは笑って、食べかけの甘ったるい菓子に手を伸ばした。

しかし参った。自分はいつも通り振舞っていたハズだし、周りもケロっと騙されてくれていたから、こんな言葉を掛けられるのは予定外。
今もいつものように駄菓子屋の前のベンチでボケっとサボってただけなのに。
でも、どうでもいいような態度で近づいてくるこの人なら、まぁいいか、という気分にはなる。

心配してもらえるということは、とても嬉しい。
でもそれを素直に受け止めるほど、自分は純粋な性格ではない。


そんな自分の気持ちを読み取ったように、ソイツは気だるそうにまた笑った。

「あー、アレだね、沖田クンは立派に思春期してるよね」
「馬鹿にしてるんですかィ」
「いやいや。たまには大人に頼りなさいって言ってんの」

レンアイ関係とかねー。と言う大人に「じゃあ金貸して」と意地悪く言ってみる。
案の定「管轄外」と一言で終わったので、思わず噴出した。

「甲斐性のねぇ男はモテやせんぜ?」
「沖田君にモテりゃ銀さんは文句ないんだけどねー」
「お断りでさァ」
「母性本能くすぐられるでしょ?」
「……無理です」
「真顔で言わないでよ…」

いつものような他愛の無い話。
少し、気がまぎれた。



*

「ね、なんでそーやって意地張ってんの?」

暫くボケっとしていると、いきなり最初の話に戻された。
やれやれ、せっかく逸らせたと思ったのに。
どうやらそんなに簡単に誤魔化されるような人でもなかったようだ。

「…別に、意地張ってるワケじゃねーんですけど」
「うん」
「人に弱味見せたくないっていうか」
「うん」
「心配とか、されるの嬉しいんですけどね、心配させてる自分が嫌いなんでさァ」
「うん」
「だから、」

一旦区切る。そして一息。飲み込む。

「だから、弱味なんて無いように、痛みなんて感じてないように、ってしてるだけです」
人のためじゃない、自分のために。


これで話は終わり、とばかりに立ち上がると、何故か抱きしめられた。



かわいそうに



そう呟かれた途端、自分の何かが壊れた音が聞こえた気がした。



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不器用な子供