新しい墓の前で呆然と俺は座り込んでいた。
きっとこんな日がくる、と未来は見据えていたはずだったのに。
生きながらえてしまったのは、今まで犯した罪の深さ故なのだろうか、とすら思った。珍しく、本気で。


普段から事あるごとに「死ね」と言っていたが(それも本気で)、本当にあの人が死ぬときは自分も追い腹を切るだろうとどこかで思っていた。
それに気づいたときは頭を抱えたものだった。でも今更変えられる気持ちではないことにも、気づいていた。
だからこそ、死ぬ確立が高かった今回の出動の前に遺言のようにそれを告げた。
そうしたらあの人は笑って一言、「追うな」と。
穏やかに、そう言ったから。

だから追わない。追えない。


夢の中で、心の中で何度も何度も問うた。

『何をアンタは勝手に死んでんですかィ?ふざけんなもっかい死ね』
『アンタが約束なんかしてくれたお陰で追い腹なんて切ることもできやしない』
『俺が生きる意味は土方さん、アンタしかなかったのに』


悲しみ半分、恨み言半分。
どちらも本音。

でも、同時に理解もしていた。

あの人が俺に「生きて欲しい」と願ったことも、大事に大事にされていたということも。
俺が出動前、あの人に願ったのと同じように。

人は『想われていた』と思うことを自惚れだ、と笑うかもしれない。
何しろ俺たちは一度も愛だの何だのを語り合ったことはなかったから。
それでもあの日「追うな」と笑ったのはそういう意味だった、と。
…そう、願う。


あの日焦がれたあの人はもう居ない。
募る思いは今でもこんなにも色鮮やかだと言うのに。


立ち上がる。夏めいた日差しが眩しい。


土方さん、俺は今も生きています。
後は追いません。
でも、もう少しアンタのことだけ想わせて。

応えて、答えて。




コーリング
ゴスペラーズ「コーリング」(アルバム『Dressed up to the Nines』)よりちょこちょこ抜粋&捏造。内容は大分違(以下略)
乙女総悟でごめんなさい