人間、やっぱりひとつくらいは欠点が無いと可愛げも何もあったもんじゃない、とランボは思う。

例えば、今目の前で隙の無い笑顔を浮かべているこの男。
整った顔立ちで、頭も運動神経も良いうえに『世界一のヒットマン』という肩書きを持っているときた。しかも女には優しいので、可愛い・美しいお嬢様からは当然のように大層モテる。
思いつく限りのことを挙げてみたところで、どこをどう見ても欠点どころか隙すら見当たらない。
ああ神よ、天は二物を与えないのではなかったのか。二物どころの騒ぎではないのですが。

ぼんやり考えていると、人にのしかかっている男は面白く無さそうに顔を顰めた。

「…この体勢で考え事なんて、随分と余裕じゃねぇか?アホ牛のくせに」
「うっさいな、大体なんでヤる体勢なの?アンタご飯食べに来たんじゃなかったっけ」
「気が変わったんだ」
「あーあ、折角わざわざ時間かけてまで作ったのになぁ」
「お前パスタ茹でてただけだろ」
「ソースも作ってたよ。サラダも食後のドルチェも」

もう黙ってろよ、と柔らかく落ちてくる唇。
やれやれ、キスまで上手いんだから。
観念したように笑って、ランボはそっと目を閉じた。


でも。

『冷徹なヒトゴロシ』な彼にも実は弱点はある。
それはとても些細で、取るに足らないものではあるけれども。


「…ねぇリボーン、今夜の夕食なんだけどさ、」
「…色気の無ぇヤツだな。この期に及んで夕飯の心配か」
「俺じゃなくてアンタのね」
「はぁ?」

眉をひそめたリボーンに、ランボは用意していた言葉をにんまり笑って言い放った。

「今日パスタって言ったでしょ?あれ、ソースにピーマン入れまくったから」
「は!?聞いてねーぞ」

寝耳に水だ、とリボーンは嫌そうな顔を隠そうともしないで、終いには黙り込んだ。

「文句言うなよな。優しーいランボさんが敵のお前の弱点克服に付き合ってあげようと思ってんだからさ」
「…余計な世話だ」

世界一のヒットマンが、17になった今でも実はピーマンが嫌いだなんて事実は極々一部の人間しか知らない、と思う。何せプライドはヒマラヤ並み若しくはそれ以上、だ。
不意に見せた子どもっぽい表情に笑いが止まらなくなった。

「ア、アンタってさ、そういうトコお子様だよね…ははっ!」
「笑ってんじゃねー殺すぞ」
「照れんなって」
「照れてねーよ」
「怒った?」
「…怒った」

あぁ、少しからかいすぎたか。
しょうがないな、とランボは苦笑して、軽く触れるだけのキスをした。

「怒んないでよ。苦くないようにしたからさ」
「…あっそ」
「食べない?」

そろそろパスタ、冷えてくっつく気がするんだけどさ。
そう困ったように笑うランボにリボーンはニヤリと笑って、ランボの耳元で囁いた。

「お前を食った後で、な」


彼の弱点
精神的ランリボになってr(リボラン!リボラン!)